「ゼロからトースターを作ってみた トーマス・ウェイツ著」を読んで
自分一人では何もゼロから作れない、これは私が中学、高校生のときから思っていたことで、残念ですが社会人になった今でも同じです。この本のタイトルを見たときに、中学生の時を思い出したので読んでみることにしました。まだ私が中学生の頃、ガリレオが望遠鏡を自作したという話をどこかで聞いて(本で読んで?)、自分でも望遠鏡をつくってみたいと思いました。しかし、当時は知識も技術も何もなく(今もないですが)あきらめてしまった記憶があります。諦めずにやり続ければよかったと今では思います。
この本では、著者が大学生の卒業制作でトースターを原料からつくってみたという話です。原料となる鉱物や原油から何とかしてトースターをつくろうという話です。もちろん何とかしてトースターをつくりあげようというプロセスも楽しめますが、それ以外にも活動を通して得られた著者の感想なども面白かったです。特に、人間は環境に高負荷を与えて様々な製品をつくりますが、それらが価格に反映されていないから安くトースターを買えるのではないか、という意見は確かにもっともだと思います。これは経済の問題というより、人間としてどうすべきかが問われる問題だと思います。
「仮想化の基本と技術 清野克行著」を読んで
「ぼくがジョブズにに教えたこと ノーラン・ブッシュネル著」を読んで
ノーラン・ブッシュネルは、あのスティーブ・ジョブスが無名の時代から彼の才能を見出して、自分の会社(アタリというビデオゲーム会社)に雇い、アップル創立にも支援を行った人です。この本では、会社が創造的(クリエイティブ)であるには、次なるジョブズはどうすればでてくるのかを中心に全部で51ものアドバイスが上げられています。
アドバイスが多く、内容を咀嚼して実行に移すのは大変そうですが、いくつか印象に残ったことを書いていきます。まずは、「情熱をもった人を採用すること」です。技能や知識は後からでも身に付きますが、情熱はなかなか難しいとのこと。その判断は難しいですが、目を見ればわかると。次に「最悪のアイデアで考えてみる」です。これはどういうことかというと、例えばあるアイディアをいいものから悪いものまで並べて、悪いものを取り組むとしたらどうするか、を考えるというものです。普段否定的に見たものはそのまま、考えることもなくなるのですが、このように考え方を無理やり逆転させることで、多角的な考え方が身につくそうです。そして、最後に「反対意見は書面でださせよ」というものです。私の会社でも否定しかしない人がいますが、そうすると何も前には進みません。そういった時に、書面で出させると誰がはっきりと否定したかわかるということです。またこれを回覧することで色々な人の意見を入力してもらうことができます。51のうち3つしかあげていませんが、参考にしたいことは多く、何度か読み返したくなる本でした。
「資本主義という病 ピケティに欠けている株式会社という視点 奥村宏著」を読んで
私は株式投資をしています。また株式会社の従業員でもあります。株式会社が存在するのが当たり前だと思っていて、特にそれについて考えることはがなかったです。しかし、社会制度に興味があり、この本を読むことにしました。
株式会社がイギリスの東インド会社から始まったことから始まり、アメリカや日本の株式会社に関する歴史が記述されており、その株式会社という存在が資本主義(経済)を大きくしてきたと述べられています。そこでは株式会社が有限責任制であることが問題になることがあると指摘されています。つまり、会社が社会や環境に悪影響を及ぼしても株主は出資した金額以上の責任を求められることがありません。(東京電力の福島原発で事故がありましたが、結局東電は賠償していません。(できていません。))
著者の提言としては株式会社が大きくなりすぎて非効率な部分が多く出てきている、(社会主義がうまくいかなくなったのもそれが原因)したがって解体してより小さい会社にするべきであるという主張がありました。確かに、私の会社をみても特に管理部門が不必要に大きくなっており、また会社が大きいため身動きがとりにくくなっていると思います。そういった意味では小さい会社のほうが身動きがしやすいでしょうね。
「石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? 岩瀬昇著」を読んで
また、タイトルに石油の埋蔵量とありますが、埋蔵量の算出方法に関する本ではないです(もちろん多少は出てきますが)。1次エネルギーに関する本で、特に化石燃料に関する歴史や世界の情報について解説されています。石油の所有権についてアメリカでは土地の持ち主であり、他の国(日本も含む)では国のものというように、国によりルールが違うという話が面白かったです。こういったルールの違いが、ビジネスチャンスに結びつくかもしれませんね。
ところで、私はよく今後の自動車が電気自動車になるのか、水素社会になるのか、はたまたガソリンのままなのか非常に興味があります。しかし、この本を読んで電気や水素の動向ももちろんですが、それ以上に1次エネルギーをどのように確保するのか、という問題も同じくらい重要であると思いました。日本は海外からエネルギー資源を輸入しています。その上で、電気や水素をつくるのです。したがって、どのように安定してエネルギー資源を確保していくことかが、日本にとって、日本人にとって考えなければならないことだと思います。きっとここに大きな商機があるように思われます。
「検証 働き方改革 日本経済新聞社編」を読んで
安倍政権のもと取り組まれている働き方改革について、その動向や企業の声について調査した本です。この本を読んだ私の理解、感想は以下のようになります。
まず日本の労働人口はこれからどんどん減っていきます、したがって日本の産業競争力をつけるにはどうすればいいのか、が問題となります。その対応として働き方改革というものがあります。働いていない老人や女性にもっと活躍してもらう必要があります。しかし長時間労働を前提とした働き方では働くことができません。そこで、多様な働き方というものが必要になります。また単純に労働時間を減らせば競争力は落ちますので、生産性の向上が必要です。そこで、社内制度の見直しやITツールを使って生産性を上げていく必要がある。また国全体をみると、正社員の雇用が硬直しすぎており、解雇規制の緩和(解雇ルールの明確化)と、失業者が転職できる環境を整える必要がある。以上が私のざっくりとした理解です。
私は社会人としてどのようにすればいいのでしょうか。おそらくより実力本位の社会となることは必至です。(逆行することはおそらくない)そのためには他社でも通じる実力をつける必要があるのでしょう。私はシステムエンジニアなので、その分野の技量を磨くというのが直近で行うことなのでしょうか。うーん。。
電気自動車は流行らない - 米国エネルギー省顧問 物理学教授の予想
「カリフォルニア大学バークレー校特別講義 エネルギー問題入門」を読んでみました。この本の著者はリチャード・ムラーという物理学教授で米国エネルギー省の顧問をしているそうです。この本は表題にあるような電気自動車に関する予想がメインではなく、エネルギーに関わる問題(福島の原発やメキシコ湾岸の原油流出事故など)の評価や原子力、代替エネルギー、石油、天然ガス、シェールオイルなど様々なエネルギーに関する比較を行っています。そしてこれは将来政治経済の分野でリーダーとなっていく人であろう人に提言するような内容(講義)になっています。国民が誤ったエネルギー政策に流されないように、その場での印象や感情ではなく科学的に評価するべきであると述べています。
私がこの本の中で気になったのは電気自動車の部分ですが、それは、どの形態の自動車が流行るかは、日本の自動車産業の行く末に大きく影響すると思っているからです。著者曰く、現在の電気自動車(ハイブリッドではなく完全に電気だけで動く自動車)は、一時的な流行に過ぎず主流にはならないと予想しています。問題としてはエネルギー密度、コスト、再充電時間を問題として挙げています、つまりバッテリーの問題です。(電気自動車なのでバッテリーが問題になるのは当たり前ですが。)ただし、バッテリーの進化が起これば話は別ですが、そこまで急激には発展しない(ガソリン車と競争できるくらいにはならない)と述べています。
私ももともと同じ考えだった(既にどこかで聞いたことがある)ので、新しい知識が得られたわけではないですが、米国エネルギー省顧問も同様に考えていることが知れてよかったです。